- ● 不妊症とは
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避妊を伴わない性交渉が頻繁にあるにもかかわらず、2年以上妊娠しない場合を指します。
結婚し男女間にて性生活がある場合、1年以内には約80%が、2年以内であれば約90%が妊娠すると言われています。これは逆を返すと10組に1組が不妊症に悩んでいることになります。
様々な生理現象がうまく絡むことにより妊娠へとつながるので、まずは原因を探すことが必要となります。
- ● 原因
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大きくわけて男性側に原因がある場合と女性側に原因のある場合とに分かれますが、原因については男女半々くらいの割合であることがわかってきました。原因が複数に重なる場合もあるため、原因追求に時間のかかることも多く、改善にもたくさんの労力を伴うことが多いです。
● 女性側の主な原因
- ■ 卵管障害
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卵管が狭くて通りづらい、あるいは詰まっているため通れないのが卵管障害です。半数までとはいいませんが多くのケースで見られます。性感染症や子宮内膜症などの影響により起こります。
- ■ 排卵障害
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ホルモンの影響により排卵しない、また排卵しても卵子が成長しない場合を排卵障害といいます。これもかなりの割合で見られます。
- ■ 子宮異常
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子宮内膜の異常により受精卵が着床できなかったり、着床しても流れてしまう場合があります。性感染症や子宮筋腫、子宮内膜症によるものが主な原因です。また、子宮の形状が通常と異なる場合も妊娠が難しくなります。
- ■ 子宮頸管障害
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子宮頸管という子宮の入口にある部分を精子が通過できないために起こります。また頸管粘液の分泌が少ないと動きにくいため、精子が通れないということもあります。
● 男性側の主な原因
- ■ 性交障害
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ペニスが勃起せず性交ができない場合をいいます。インポテンツと呼ばれます。
- ■ 射精障害
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性交できても女性の腟内にうまく射精できない場合をいいます。自然妊娠が難しくなります。
- ■ 精子異常
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精子が全くない、量が少ない、動きが鈍い、奇形が多い場合をいいます。男性の原因による不妊の約80%が該当すると言われています。精巣異常や尿路感染症、性感染症、ホルモン異常、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)などの病気やストレスなどによる影響が原因です。
- ● 不妊症検査
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不妊症の原因が男女半々であることを考慮すると、初めから一緒に受診される形が望ましいです。男性の検査はそれほど時間もかからずに済みます。不妊治療が長期間に渡るケースが多いので、お互い一緒に努力していく協力体制を最初から築いていくのが理想です。
女性の主な検査
- 基礎検査
- 超音波検査
- ホルモン検査
- 子宮卵管造影検査
- 腹腔鏡検査
- 頸管粘液検査
- ヒューナーテスト
男性の主な検査
- 基礎検査
- 精液検査
- 精巣検査
- ヒューナーテスト
- ● 不妊治療
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一般的には検査の実施後、治療について段階的に行っていきます。
治療方法ですが大きく2パターンに分かれます。
- 1. 検査を実施し、原因を除いて万全の体制になってから性交渉を行い、自然妊娠するのを待つ方法。
- 2. 人工授精や体外受精を利用した人工妊娠。
検査にて原因を追求し、改善を行う形で自然妊娠を待つという方法を通常は取りますが、それでも改善が望めない場合には人工妊娠を選択しなければならない場合があります。
時間だけでなく費用もかかるため、こどもを希望する男女間にてお互いの認識を同じにしていく必要があります。治療についての共通認識を同じくし、お互いを思いやって、双方の意見を尊重しながら進めていくことが大事です。主な不妊治療
- カウンセリングや性交のタイミング指導
- 内服薬による治療
- 注射による治療
- 卵管通水、通気法
主な高度医療による治療
- AIH(配偶者間人工受精)
- 体外受精
- ギフト法(配偶子卵管内移植方法)
- 顕微受精
当院ではこのような検査を実施し、適切な治療をおすすめするとともに、高度不妊治療をお受けになる方については、不妊専門病院の治療のアシストを行っております。